「今の子どもはなにも考えてない」とか、「空気を読まない」と大人は勘違いするけど、そうじゃないんじゃよ。

考えすぎて動けなくなってる子どもがたくさんいる。先を読みすぎて身動きとれなくなっていたり、まわりの空気を読んで何も言わなくなったりね。

本人はね、すごく考えてるの。言わないだけ。

そうなんですね?

大人がしてあげられることは、不安を取り除いてあげること。
大人になることへの希望を見せてあげること。
具体的には、大人自身が人生を楽しむ手本になること。
そして、心配を子どもにかぶせないこと。
心配や不安のフィルターをかけて子どもを見ないことだね。

なるほど。
心配や不安のフィルターで見ない方法として、橋本陽輔さんの『悟る技術』はいいですね。わたしも心配になった時は、使っています。

うん。

親の心配のエネルギーは、想像以上に子どもにのっかるからね。ますます子どもが自分の意思で動きにくくなる。

「この子もこの子なりに、いろいろ考えているんだ。自分の中に必ず答えをもっているんだ」と信頼して、まずは自分が子どもにかぶせている不安のエネルギーをとろう。そして、子どもが親を必要とした時に話を聞いてあげる。中学生や高校生は思春期で、親から自立したいという思いと、親に甘えたい時が交互にやってくる巣立ちのトキ。 子どもが必要としていない時に話しかけると、うっとうしがられる。

では必要としている時はどんなトキなのか?
何げなくそばに来るトキだね。話しかけるでもなく、用事もないのに、親のそばに来る時は、親のぬくもり、エネルギーを求めているトキ。そういう時に、そっとそばにいてあげたらいい。

話しかけるとしたら、「どうした? 何かあったか?」とか、「これ食べる?」とか、何げない言葉だね。

ほぅほぅ 。

「さ~、親のそばに来た!! 今アドバイスしなきゃ!! 子どもの言いたいことを聞かなきゃ!!」って思うと、エサを待ってるヘビみたいな感じになっちゃうから、 力、抜いてね(笑)

さっきも言ったけど、何も考えてないわけじゃない。本人なりにいろいろ考えてるから。そのことを知るだけでも、ずいぶん見え方が変わるよ 。

確かにそうですね。

あとね、「こうしないと幸せになれない」ってよく大人は思ったり、子どもに言うけど、それしたら本当に幸せになれるの?お父さん、お母さんは「今、幸せ」って自信もって言えるの?言ってることが矛盾してるよね、ってこと、子どもはちゃんと見抜いてるよ。

だから、「子どもに幸せになってもらいたい」という思いを、「子どもも親も責任をもって自分を幸せにしてあげようね」って思いに変えてみようか?

子どもにだけ「しあわせになって」って思うんじゃなくて、あなたも幸せを感じることや笑えることを積極的に取り入れてみて。一緒にやろう! 子どもも親もね。それぞれのゴールは同じだから。

それぞれのゴール?

「幸せって感じる感度を上げること」
「いっぱい笑える人生を過ごすこと」

今の日本は、「こういうことがしあわせだよね」って言えるだけ、幸せな国なの。

自分の主張をできない国もあるし、爆弾が落ちてきて、常に命の危険にさらされている国もあるからね。

確かにそうですね。
子どもへの具体的な励ましの言葉はありますか?

さっきも伝えたように、「この言葉を言えば、効果がテキメンに出て、学校に毎日行くようになる!」なんてことはないんじゃよ。

その子その子によって、悩みや抱えている不安は違うしね。
だから、「効果的な言葉を教えて!」という人には「Doing」ではなく、「Being」で。「なにかをすること」に特化するのではなく、「ただそこにいること」が、ものすごい深い意味をもつことを知ってほしい。

「自分の不安のエネルギーをこどもにかぶせないこと」
「いかにありのまま見るか」
「子どもの幸せと同じように、自分も幸せでいることに目を向けること」
これを大切にしてほしいねぇ。