本記事は「しあわせ通信176号」の内容を再編集して掲載させていただいています。
いやぁ、大変でした。
野球観戦でこんなに疲れるとは思いませんでした。
私は福岡に住んでいるので、ソフトバンク・ホークス球団のファンなのです。
今年は開幕から調子がよくて、途中までは楽々リーグ優勝かと思われました(平成27年、2015年の文章です)。
ところが、終幕近くなって連敗が続き、ついに最終戦までもつれ込んでしまったのです。
それを延長戦の末、なんとかギリギリ勝ってリーグ優勝出来ましたが、次のクライマックスシリーズでは、日本ハム・ファイターズと戦い、ここでもついに最終戦までもつれ込んだ末に、ファンをハラハラ・ドキドキさせながら、なんとか勝ちをもぎ取ることが出来ました。
そして、これらの悪戦苦闘がいい経験になったのでしょう。日本シリーズでは、阪神タイガースに4勝1敗で圧勝し、ついに日本一に輝くことができたのでした。
私は野球観戦でホークスが不利になってくると、イライラしたり、腹が立ったり、ブツブツ文句を言ったりし出して家族に嫌われます。娘に「お父さんはホークスが負け出したら、性格が悪くなるからイヤ」とよく言われていました。
それで、あるとき気がついて、ホークスが不利になって、自分の性格が悪くなってきたなあと気づいたら、フイッと席を立って、試合を見ないで、他のこと、例えば風呂に入ったり、掃除をしたりをすることにしたのです。
この決心は結構大変です。だいたい、こういう時は、その不利な状況に意識が「固着」してしまっているので、なかなか意識をその状況から引き剥がせないのです。
それを、思い切って、その状況から「気を逸らせる」ことにします。
そうすると、これまではこんな不利な状況から逆転して勝利することがほとんどなかったのが、気を逸らして、別の作業に没頭していると、5、6割の確率で勝てることが分かりました。
つまりですね、意識が不利な状況に固着して、離れられなくなると、そういう不利な状況を、ますます誇張拡大して再生産することになり、ズルズル敗戦に到ってしまうのです。
ここで、知っておかなければならないのは、世界も、自分も、刻々消滅して、刻々新しく立ち上がっており、続くものは何ひとつないという事実と、心に描かれた想いが次の世界と自分を生み出してゆくということです。
ですから、意識の方向や内容を変えると、世界が変わります。
意識の向きを切り換えただけで、形勢を逆転することも出来るのです。
オリックスとのリーグ最終戦は、手に汗握る接戦で、もう勝てそうもないと意識が断定しそうになったので、その時はラジオで観戦していたのですが、思い切ってスイッチを切り、フト思いついて、ここでは坐禅をしようと思ったのです。
面白いですね、そしてありがたいですね。
坐禅したら、坐禅の世界が立ち上がってくれるのです。
あんなに怒涛の感情の起伏があったのに、もうハラハラもドキドキもたちまちのうちに消えてしまって、ただ静寂と祝福に包まれた自分がいるだけでした。
もう勝ちも負けもない。
ただ、我がイノチを精一杯発揮しようと、全力を傾注して戦っている若い選手たちがいて、そういう貴重な経験が出来る若者たちは何としあわせなことであろう。
もうそれだけでいい。
エラーした○○選手も、そのままでOK!制球を乱して四球を連発した△△投手も、そのまま許されているんだ!と実感したのです。
そして、心の中で次のように唱えました。
私はこの選手たちを、勝っても負けても許します。
私はこの選手たちを、勝っても負けても受け入れます。
私はこの選手たちを、勝っても負けても愛します。
私はこの選手たちを、勝っても負けても抱きしめます。
私も彼らも、みんな精一杯のいのちを生きようと努めています。
ですから、私はこのままOKです。
選手たちもそのままでOKなのです。
このようにして、しあわせいっぱいの気分で坐禅をやめることができました。そして、おもむろにラジオのスイッチを入れると、試合は延長戦に入っており、ちょうどホークスの選手が決勝打を打った瞬間でした。
これまでは勝ちたいという気持ちがとても強かったのですが、このときは、もう勝ってもいいし、負けてもいい、どちらもOKで、ただ選手たちが、自分の全身全霊で相手にぶつかってゆける、そんな素晴らしい経験が出来るということは、彼らにとって何としあわせなことだろう。結果はどうであれ、いのちを躍動させて精一杯の自分を表現してほしい。そのように祈っただけで勝ってしまったのです。
これは何でだろう。勝とうと思わないのになぜ勝てたんだろう。
とても不思議で、半信半疑でもあったのです。
ですから、このオリックスとの最終戦からスタートして、この方法が『想いの実現法』として、果たして有効なものなのかどうか実験することにしました。
日本シリーズで優勝を決めるまでの、五つのとても重要だった試合を選んで実験して、この方法で、すべての試合に勝つことができました。不思議なことですね。
できましたら、こんな方法(勝っても負けてもOK、自分も人も世界もそのまま許されており、愛されていると宣言する方法)で勝ったり、成功したりできるのかどうか、実験してみて下さい。
最後に、これらの体験をもとに、しあわせな人生を幕開けさせる呪文を作ってみました。ツラい状況になった時に称えてみてください。
<幕開けの詩>
私は私を許します
私はあなたを許します
私は世界を許します
私は私を認めます
私はあなたを認めます
私は世界を認めます
私は私を愛しています
私はあなたを愛しています
私は世界を愛しています
私は私を抱擁します
私はあなたを抱擁します
私は世界を抱擁します
私は私でOKです
あなたはあなたでOKです
世界は世界でOKです
私が私であること、
それは何と素晴らしいことでしょう
あなたがあなたであること
それは何と素晴らしいことでしょう
そして
世界が世界であること
それは何と美しいことでしょう
私はしあわせになります
あなたもしあわせになります
そしてしあわせな世界の幕が開くのです