カラッポ財布

しあわせ通信(毎月15日更新)

高校3年の学年通信のために書いた文章を増補したものです。

いよいよ最終学年、受験という関門に立ち向かう年となりましたね。

さて、この関門を『自動ドア』にするか、あるいは『不開あかずの扉』とするか、それは、これから一年間の皆さんの心構えと努力次第です。
先輩たちに続いて、素晴らしい成果を出して下さるよう期待し、健闘を祈っています。

皆さんの能力を『財布』で譬えることにしましょう。

各自、個人めいめいもちの財布の中味は区々まちまちです。

30円入っている人もいれば、100円入っている人もいます。この学校には特別に才能に恵まれていて、一万円ほど財布に入れているというすごい人もいます。

こんな人にとっては、大学受験なんて大したことはなくて、超難関大学合格という品物でも、千円ほどのお買い物でしょうから、万札出せばおつりが返ってきます。

まあ、こんな大富豪のお坊ちゃまは好きにさせておきましょう。

しかし、アドバイスを一言だけ言わせて下さい。

パンパンに膨らんだ財布といえども、有限の金額しか入っていないのです。ですから、好き放題に散財していたら、いつの間にか、財布はぺしゃんこになってしまって、必要な時に必要な買い物が出来なくなってしまいますよ、気をつけて下さい。

さて、これからは、私と同じ30円組の皆さんへのお話しです。

皆さんは、これから30円入った財布で1000円の買い物をしようというわけです。はたして、そんな大それたことができるのでしようか。

「もちろん、間違いなく出来ますよ」というのが、私自身の人生経験から導き出した答えです。

実は、イエス様も私たちと同じ30円組でした。

お父さんは大工の名匠で、長男のイエスは父のもとで大工修行中でしたが、才能に乏しくて腕がなかなか上がらず、父親を嘆かせていました。

ところが、イエスの弟は大工の才に恵まれていて、兄のイエスを小バカにして、「親父の跡を継ぐのはオレだ」と自負していたのです。

そんな30円組のイエスが、結局、現代の世界のいしずえを設計し、建築するという名大工ぶりを発揮することになったのですから面白いものですね。

このように、イエス様は、30円の財布で何億円もの買い物が出来たのです。

聖書には、5つのパンで、五千人の空腹が満たされ、さらに十二籠のパンくずが残ったという奇跡話が載っています。30円で1000円の買い物が出来ると言ったとしても、そんなことぐらい、ちっとも不思議ではありません。

では、どうすれば、そんな不思議な買い物が出来るのでしょうか。これから説明しましょう。

実は、才能の財布は二重底なのです。一重目の財布には30円しか入っていないかも知れませんが、その一重目の財布の底に穴が開くと、その下にさらに二つ目の財布があるのです。

そして、その二番目の財布には、万札、金貨、銀貨がザックザク…、そういう話が続くんだろうと思われたんではありませんか。残念ながらそうではないのです。 

だいたい、そんなすごい、超パンパン財布でしたら、重くて、重くて、とても持ち運び出来ないですよね。

どこかに行きたいと思っても、盗られたら困るので放っておけない。その財布のせいでずいぶん不自由になるし、財布の下敷きになって圧死…、なんて新聞記事になりかねません。

しかし、一重目の財布にありとあらゆる紙幣や硬貨を溜め込んでおこうとする人もいます。

そんな人は溜め込んだのはいいが、その財布の重みで動けなくなり、またお金が無くなることへの恐怖から人が信じられなくなり、犯罪に走り…、そんな悲しい人生を送ってしまう人がたくさんいますね。

みがつみ』という言葉もありますが、人間は身軽が一番しあわせなのです。

さて、二番目の財布の話にもどることにしましょう。

一番目の財布の底に開いた穴に指を突っ込んで、二番目の財布の中身をさぐることにします。
すると、コイン一枚、指に触れることはなく、スッカラカンのカラッポなんです。
「それじゃ、しょうがないじゃないの。やっぱり30円の買い物しか出来ないんだから」という声が聞こえてきそうですね。

しかし、ここからが面白いんですが、お店に1000円の値札が付いた品物があって、あなたはどうしてもソレを手に入れたいとします。

『これが欲しいんだけれど、私は30円しか持っていないからダメよね』とあきらめて、心残りしながら他の棚に移ってしまったとしたら、あなたは一生涯、その品物を買うことは出来ないでしょう。

しかし、ここで勇気をもって、その1000円の品物を手に取って、カウンターまで進み、財布を開けて手をつっこむと、不思議や不思議、そこに千円札一枚が見つかるのです。

その千円札を取り出して支払いを済ますと、あなたがどうしても欲しかった1000円の品物があなたのモノとなります。

しかし、支払いを済ませた後は、あなたの財布の中身は、あいかわらず30円のままで、決してあなたの才能おかねによって、その品物が買えたわけじゃないのです。

ですから、あなたはサバサバ身軽のままで、お金持ちになったわけじゃないので、お金の重荷を背に負って歩み続けるといったこともなく楽ちんなのです。

それでも、次に二千円の買い物がしたくなったら、あなたは千円の買物の際に要領コツをつかんでいるので、二番目の財布から千円札を二枚取り出せるのです。

このように、カラッポ財布から、必要な時に必要なだけのお金を取り出せると分かったら、財布は軽い方がよく、あなたは軽やかな、爽やかな生活をおくることが出来るでしょう。

さて、では最後に、財布に穴をあけて、二番目の財布とつながるための秘訣を伝授しておくことにしましょう。

その前に、まず知っておかねばならない事は、この才能の財布の一重目、二重目を仕切っているという底は、実はナイんだということです。

それは、私たちが作り上げた幻想にすぎなくて、本当にあるのは一重の『底ヌケ財布(才富さいふ)』だけなんです。

それであるのに、私たちの財布(才能)には底(限界)があるように、私たちには感じられますね。

それは、私たちがその幻想の底(仕切り)を心に描き出して、その幻のイメージにエネルギーを供給して、幻影を存続させるための努力を意識のうちに続けているからなのです。

それぞれの人の心には、自分とはこういう存在なんだとする『セルフ・イメージ(自己像)』が描かれています。
それは、自分というものの輪郭であり、自分と自分以外のものを分ける仕切り、囲いなのです。

つまり、人は自分のまわりにイメージの囲いを設けて、その内側の領域を『自』と呼び、その外側を『他』と呼ぶのです。

こういう幻の分割を行うようになったのも、もちろん魂の進化の上では意味あることであったのですが、現在の段階まで人類の魂が進化してくると、今度は、その『自分の囲い(自らと他を分ける囲い)』が、自らの可能性を縛る『制限・制約の囲い』となってしまったのです。

仏教ではよく『無我』といいます。これは、私たちが自分だと思い込んでいるものは、実は心に描き込んで定着させてしまった様々な幻の囲いの集合群に共有される内側の狭い部分にすぎないのです。そうであれば、そういうちっぽけな『我(自分)』なんて本当はナイのです。

本当にあるのは、宇宙いっぱいの広がりを持つ一つの財布のみで、その財布の「開き口」にあたるのが、『あなた』なのです。

というわけですから、自分というものを小さく限定している幻の囲い(財布の底)を解消する、つまり『無我』の状態をつくり出すことによって財布の底に穴が開き、二番目の財布が使えるようになるのです。

つまり、『無我』となることによって、言葉を代えると『無心』になり、『我を忘れる』という状態となることによって、『自分の能力』の限界を突破することが出来るのです。

そのために必要な条件を三つあげておきます。
 
1)目標達成に向けて本気になり、本腰で取り組み、全身全霊で努力すること。

本気になって取り組むと『我を忘れ』ます。

そうすると、その時、幻の自己制約の壁は消滅しているので、自分には信じられぬような能力を発揮することが出来ます。本当はもともとあった能力だったのですが、幻の底がそれの湧出を抑えこんでいたのです。

この現象をエネルギーの方面から説明しておきましょう。

本気になると、あなたのいのちのエネルギーは、その突破の一点に集中します。

その時、幻想の仕切り(能力の限界をつくり出すもの)を存続させるために使用されていたエネルギーの供給が止まりますから、たちまち幻の壁は消滅して、一気に能力が増加するのです。

(2)我欲を超えた、他のため、人のため、日本や世界人類のために貢献尽力したいという大欲を持つこと。

我欲がはたらく時は、『自分(我)』という、『能力を制限する囲い』が存続しているのだから、先ほどの例でゆくと、一重目の財布に入っている30円分の買い物しか出来ません。

世のため、人のために貢献するぞという強い志を心の中心にしっかり据えると、ちっぽけな自分の囲いの存続の方向にエネルギーが流入しなくなるので、能力を限定する囲いが消滅するのです。

(3)計算をやめ、クヨクヨ、グズグズ思い続けることをやめて、思い切って前進すること。

先ほどの例でも、1000円の買い物なのに僕には30円しかない、などと計算していたら、いつまでたっても財布の底に穴が開きません。

そういう『思いを切って』、つまり『思い切って』体をカウンターの方に進ませた時、その途端、財布に穴が開いたのです。

人が何と言おうが、自分が何と思おうが、私は人のため、世のため貢献するんだ。そのためにはコレがどうしても必要なんだ。
そのためには、世も人も私に協力してくれて当然なんだと強く信じて前進しましょう。

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