思い及ばぬ人生

しあわせ通信(毎月1日・15日更新)

本記事は「しあわせ通信211号」の内容を再編集して掲載しています。

昔は「思い通りの人生」にあこがれたものですが、今では「思い及ばぬ人生」の方が断然面白くなってきました。

「思い通り」ということは、ついに自分の「思い」の枠組みを突破できなかったということですね。

人の頭で思い描くことなんて、結局大したことではないのですから、それではつまりません。

もっと大きな、宇宙いっぱいの存在の頭(神の作戦)に身を委ねて、その偉大な存在がどんなプレゼントを差し出して来ても、文句を言わずにそのまま受け取ってやるべきことをやっていけばいいんだ、もうそれだけでいいんだと分かり、人生とても楽に、楽しくなりました。

それが自分には困ったプレゼントのように思えても、それは目先しか見えない、ちっぽけな人間の頭の判断なのですから信用できません(「塞翁さいおうが馬」の故事がありましたね)。

取りあえず、神さまから差し出されたどんなプレゼントでも、『まあ、神さまが下さるというのだから、きっと悪いものであるはずがないよね』と信じて、嫌な顔一つしないで、素直に受け取ってゆけばいいだけのことなんです。

そうは言っても、私の人生、相変わらずドタバタ、オロオロ、ウロウロの連続ですが、このように波立つ心の根底にはいつも、『何だか分からないけど、きっと面白いびっくりするようなプレゼントが、これからドンドンやって来るはず』と、何となくワクワクして、明るい期待感を自然に持てるようになっている自分がいます。

あるプロ野球の選手が、突然打てるようになったのです。
「どうしてバッティングが急に好調になったのですか」とたずねられて、「以前は、打ちたい、打ちたい、打たねばと追い詰められたような気持ちでバッターボックスに入っていましたが、最近は取りあえずバッターボックスに入ろう。そして思い切ってバットを振ってこよう。
結果がどう出るか、それは分からないけれど、バットさえ思い切って振れば、きっと何かいいことが起こるはずだと自然に思えるようになったのです。
こうしたい、こうでなければならないなんて決め付けないで、ただ明るい期待感だけを持ってボールに向えるようになったというのが、好調の原因だと思います」と答えていました。

ホームランを打ってやろう、クリーンヒットを打とうなんて「思い通り」にしようという気持ちを捨てることが出来るようになったのですね。

しかし、『もうこんなプレッシャーのかかることはやめた!』と、その緊張の状況から逃げだそうとするのでもないのです。

取りあえずバッターボックスに入って、ピッチャーに正対し、何も考えずにただ思いっきりバットを振りぬいてこよう、あとはあなた(神さま)任せだと覚悟を決めるのです。

本当にそれだけでいいんです。きっと何かが起こって、チームに大きく貢献した打席だったなあということになります。

私の場合は、伊勢の神さまに自分のこれからの人生は神さまのために使って下さいと祈ったので、その後の人生は神任せです。

神の意志の大きな潮流に、今もフワッと浮かんで、ドンドン運ばれていっている(神流かんながら)という実感があります。

神の潮流(神流かんながら)のことを仏教では「法」と呼んでいます。
この漢字は「サンズイ(水)」と「去る」から構成されていますね。
あるデコボコの地形に水を注ぐと、決まったたどり道を通って水は流れて行きます。

このように、すべての「いのち」には、こうでしかありえないという人生のたどり道があるのです。これを仏教では「法」といい、神道では「神流ら」といいます。

それは、あなたに期待する神の意志(方針)が作った「流れ」なのですから、その流れのまま、あなたが行動してゆけば、必要最小限の労力で最大限の効果が上がる働きができるのです。
 
それに反して、あなたがその神の潮流に逆らって進もうとしたりすると、大変な労力を費やしても、ちっとも前進出来ないというような、苦労のみが多い人生になってしまうのです。

では、神の流れに浮かんで、運んで頂くには何が必要でしょうか。

そのポイントは2つあると思います。
1つ目は、「どうぞ私に神さまの御用をさせて下さい」という祈りです。
2つ目は、心がかたくなでないことです。こうでなければならないという思い込みが強いと、その思いの「固まり」が重くて、神の潮流に浮かぶことが出来ず、沈んでしまいます。

私の場合は、こうでなければならないという個人的な願いやこうしたいという思いは、もうありません。
そうなったら、神さまは私が役割を果たすために必要な出会いを次々提供して下さるようになりました。

これからさらにどんな出会いが待っているのか、自分にはまったく分かりませんし、分かろうとも思いませんが、きっと面白くて、あっと驚くような展開が待っているように思われ、とても楽しみです。

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