本記事は「しあわせ通信230号」の内容を再編集して掲載しています。
コロナウイルスで大変なことになりましたね(2021年4月号の記事です)。
長らく皆さんにお会いできないのがとてもつらいです。私のような高齢になると、1年というものがとても貴重なのです。志を継いでくれる弟子を何とか仕上げて地上を去りたいとあせる気持が出てくるのですね。
神様が『弟子をはやく悟らせよ、育てよ』と、せっつかれるようになったのが不思議だったのですが、こういう事態になって指導のブランクが生じることをあらかじめ見越しておられたのですね。
しかし、私の修行時代を思い返してみると、師は東京にお住まいで、月に一度だけ大阪においで頂いて指導を受けていたのですが、師が色んな事情で何ヶ月も大阪においで頂けなかった時期こそが、私が最も進歩出来た期間でした。
私の場合がそうであったように、皆さんにお会いできなくなってから、「心境が進みました、こういう悟りを得ました」という報告が多くの弟子から届き始めました。驚くとともに、『なんだ、みんな結構やるじゃないか』と喜んでいます。もう大丈夫なんですね。もう自立して自分の足で歩んでゆけるまで育ってきていたのですね。それが一気に見える形で現われ始めたようです。
悟りとは、「自分がありのままの自分に落ち着けるようになる」ことなのですから、師に頼る気持が少しでもある間は本当の悟りにはならないのかも知れません。だから、アナンのように、師の釈迦がお亡くなりになってから悟りを開いたという方が多いのでしょうね。
ですから、こんな時こそ、自己のイノチを充実させ、高める貴重な期間としてください。
今年の卦は「予」で、「来る春のために予め備える」という意味でしたね。そして、「石を介して、日を終えず」は、「石(重荷=大使命)をしっかり抱きかかえて、決して途中で放り出さず、黙々と終日歩んで(成長して)ゆきなさい」という意味でしたね。
私は、現在の高度資本主義体制は、社会主義体制が信じられないくらいあっけなく崩壊したように、早晩崩れ去ると思っています。なぜなら、このシステムが存続すれば、人を害し、自然を害し、動植物を害し続けることになってしまうからです。
コロナ騒動が、新しい時代を切り開く突破口となるのかも知れません。
日本は世界の「気」がすべて集まっては出てゆくという特別な場で、「世界のひな型」なのですから、お互いに人や政治を非難しあってばかりいないで、みんなで智慧や労力や協力の手を出し合い、痛みも分かち合って「ひとつ」になり、無事にこの困難を収めることが出来れば、それが「世界のひな型」となり、その「日本モデル」が元になって、新しい時代の「人にやさしい、自然にやさしい、動植物にやさしいシステム」が誕生するのではないでしょうか。
こんな時だからこそ、次のステップのために、しっかり学び、坐禅しましょう。「自分が自分に落ち着くことが出来れば、世界が世界に落ち着ける」のですからね。