易経に学ぶ「行き悩む時」

しあわせ通信(毎月1日・15日更新)

本記事は「しあわせ通信177号」の内容を再編集・改訂して掲載しています。

今回は、「けん」という卦の勉強をしましょう。

「蹇」とは、「行き悩む」という意味です。「足」の上に「寒」が乗っかっている漢字ですね。
これは寒さに足が凍えて進めないという状態を表しています。

前方に進もうとするのですが、深い「水(海)」があり渡れないのです。また、高い「山」があり、その険しさが前進を阻みます。無理に進もうとすれば、遭難の怖れが生じてくるでしょう(「蹇」の卦は「水」と「山」から構成されています)。
 
ですから、成否が五分五分だけれども、思い切って断行しようなどと蛮勇を発揮してはいけません。<行くべきでない時に、行くことを断念して引き返すのも素晴らしい勇気!>なのです。これは正義なのだからと我を張って行動してはいけません。

ただし、平坦な道、暖かい方向の安全が見込まれる、無理がない道であれば前進してもいいです。

頑なにならないで、先輩や智慧ある人の意見を、謙虚、素直に受け入れて、行動を決定することが必要です。
そうすれば、多方面から支持者が現われ、協力、援助が届けられ、やって来るでしょう。

前へ、前へと、外側に行くことばかりに気をはやらせることをやめて、一度、内側を振り返ることにしましょう。

あなたに恵まれているものは何と多いことでしょう。そのことに気づいていますか。

家族、仕事の同僚、禅の会(しあわせ通信)の仲間…、そのように、自分に恵まれているものの多さ、支えてくれている存在の有り難さに気づき、それらとの関わりを誠実に、これまで以上に、思いやり、心遣いを丁寧にして、お付き合いしてゆきましょう。

世界はあなた自身の有りようを映し出す鏡のようなものです。

あなたが関わりのある方々を大切に思い、いたわる気持ちをもてば、あなたも、たくさんの人に大切にされ、いたわりや善意のサポートを提供してくださる人も増え、次の活動期に向けて、しっかりした地盤が出来上がるでしょう。

今は地道に徳を積んで、身内を固める時期なのです。
 
一見、厳しくて、何事も思い通りにならない苦しいツラい時だと感じられるかも知れませんが、それは冬をむかえた落葉樹のようなものなのです。

いのちの内側では、来る春(活動期)に向けて、しっかり内側を充実させる営みが黙々と続いています。

今は、イノチの実力を地道に蓄えるとても大切な時期です。

豊かな実りを末永くながくもたらしてくれる「基礎となる土壌」をしっかり整える時としましょう。
 

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